- この記事では、インフルエンザでの脳症・異常行動とくすりの関係を話します。
- 薬・ワクチンはインフルエンザの異常行動とは関係ありません。
- お子さんにロキソニンは飲ませてはいけません。
先日公開したこの記事について妻と話していたところ、

よくママ友に、ワクチンや薬がむしろ悪さをしているという話を相談される
という話を聞きました。
そこで、今日はズバリ薬でインフルエンザが悪くなる可能性、について話します。
タミフルは異常行動を起こさない事実と、噂が流れた理由
日本という国は、非常にメディア・一般の方の意見で医療情報が誘導されやすい国です。
2005年ごろから、日本でタミフル服用後に異常行動や 転落・死亡事故 が相次いで報告されました。報道では特に 10代の若者の転落死亡が目立ちました
中学生また「飛び降り」 「タミフル」に問題ないのか: J-CAST ニュース【全文表示】
これらを受けて、2007年3月、厚生労働省は 10〜19歳に対するタミフル使用上の注意喚起 を発出し、これによってタミフルが異常行動を起こすという風潮になりました。
これは現在否定されています。
結局のところ、当時でさえ、異常行動はインフルエンザそのものによると結論付けられています。1
最新の疫学研究でも、タミフルは精神症状の発生率を低下し、治療は安全かつ有効とされています。2
むしろタミフル使ったほうが安全なんです。
- Nakamura Y, et al. Abnormal behavior during influenza in Japan during the last seven seasons: 2006-2007 to 2012-2013. J Infect Chemother. 2014 Dec;20(12):789-93. doi: 10.1016/j.jiac.2014.08.016.
- James W. et al. “Influenza With and Without Oseltamivir Treatment and Neuropsychiatric Events Among Children and Adolescents.” JAMA Neurology, 82 (2025): 1013 – 1021. https://doi.org/10.1001/jamaneurol.2025.1995.
ではなぜ厚生労働省はそのような注意喚起を出したのでしょうか。当時はこれからエビデンスを蓄積するから注意してね、ということでした。翌年にはすぐに因果関係は不明と結論付けられ、そこから現在は蓄積したエビデンスから大丈夫と記載されているのに、こういった後で大丈夫だったよという話は一向に報道されないのが現実なんですよね。
アセトアミノフェンは大丈夫。ロキソニンのリスクについて。
解熱剤が「インフルエンザ脳症を悪化させる」との説は、主にライ症候群の報告(1980年代)から派生したものです。
ライ症候群は、子どものインフルエンザまたは水痘といったウイルス感染後に、アスピリン(ロキソニン)を飲むことで起こる重篤な病気です。
嘔吐・意識の変化(ぼんやりする、混乱、けいれん、昏睡など)・肝臓の異常といった症状を起こします。
未だにこの病気は原因がわかっていないのですが、アスピリン内服と相関しているため、小児のアスピリン内服をやめることで劇的に発症率が下がりました。
そのため、現在子どもにロキソニン内服は禁忌となっています。



医師の国家試験で、この問題を間違えると失格になるくらい重要な話として学びます。
そのため、子どもに処方される解熱剤は必ずアセトアミノフェン(カロナール)であるはずです。
この話が独り歩きして、解熱剤がインフルエンザ脳症につながる、という話になってしまっているのだと思います。
※本来ならば怪我とかであれば使っていいのかもしれませんが、私も小児に処方することは基本的にありません。
ちなみに、おなじ鎮痛剤とひとくくりにされても、ロキソニン(NSAIDs)とカロナール(アセトアミノフェン)は全く違う薬剤です。
実際には、インフルエンザ脳症のリスクは高熱なので、むしろ熱は適切にさげたほうがよいと思います。3
3. Min Yang, et al. “Characteristics and outcome of influenza-associated encephalopathy/encephalitis among children in China.” Clinics, 79 (2024). https://doi.org/10.1016/j.clinsp.2024.100475.
ワクチンはインフルエンザ脳症リスクを下げる。
最後に、インフルエンザワクチンとインフルエンザ脳症の関連について簡潔に記載します。
一言、ワクチンはインフルエンザ脳症のリスクを下げます。
これが、我が家がインフルエンザワクチンをうつ理由です。
いかがでしたか?
よくワクチンに懐疑的な方は、ワクチンがない時代についてお話していることがあります。
次回、ワクチンがなかった時代のインフルエンザについて解説しますね。








