インフルエンザ:我が家がインフルエンザワクチンをうつ理由

このページはインフルエンザについての話をします。

おそらく、読んだ方の中には医師がこの病気について不安をあおっている、と思われる方もいるかもしれません。

なにせ、医師の中でもインフルエンザを風邪の強いバージョンとおっしゃる方も多いですので。。。
ここでは、我が家ではなぜインフルエンザワクチンを打つのかについてお話しします。

目次

インフルエンザってどんな病気の印象ですか?

インフルエンザは、全世界の約10%が感染し、毎年約50万人が亡くなる病気です。1

また、この病気は肺炎や脳症、心筋炎などの合併症を起こすことがあります。2

特に私が怖いと思っているのが脳症です。(他科の専門の先生でしたら、その病気が怖いと思うのでしょうが。。。)

そして、そういった後遺症を起こすリスクがある方が、幼児と高齢者なのです。

この図表は、引用2内に乗っているものを日本語改変したものです。

特に1歳未満の子にリスクが高いですが、特に3-4歳までは成人の方よりもリスクが高いことが分かります。

ここで、High risk(重症化リスクが高い)とNot High risk(重症化リスクは高くない)と分けられていますが、ここでの重症化リスクは

  • 心疾患
  • 肺疾患(COPD、喘息など)
  • 糖尿病
  • 腎疾患
  • リウマチ性疾患
  • 認知症
  • 脳卒中の既往

のことを指しています。

特に喘息なんかはお子さんでもよくいらっしゃいますよね。
うちの子もひとりは喘息持ちです。

一方で、インフルエンザについての認識は、我々医療従事者と、一般の方との認識は乖離していることもよく知られています。ちょっと悪い風邪といわれることも多く、特にワクチンについては、「高齢者や持病のある人向け」と認識し、自分には不要と考える傾向が強いとされています。3

※一方で、我々医療従事者も自分の感染対策を過信しているという報告もあって、おもしろいなと思いました。

引用文献
  1. Javanian M,et al. (2021). A brief review of influenza virus infection. Journal of Medical Virology, 93, 4638 – 4646. https://doi.org/10.1002/jmv.26990.
  2. Rothberg M, et al. (2008). Complications of Viral Influenza. The American Journal of Medicine, 121, 258 – 264. https://doi.org/10.1016/j.amjmed.2007.10.040.
  3. Petriček G, et al. (2019). Laypersons’ perception of common cold and influenza prevention—a qualitative study in Austria, Belgium and Croatia. The European Journal of General Practice, 25, 220 – 228. https://doi.org/10.1080/13814788.2019.1645831.

インフルエンザ脳症について

インフルエンザ脳症は、インフルエンザの患者さんの一部に起こるきわめて怖い合併症です。

日本の学会のHPでは、死亡率30%、後遺症25%といわれています。

最新の中国の文献でも、死亡率は約17%と言われています。4

インフルエンザ脳症には軽症例と重症例にわかれるとされています。

軽症例は一時的に意識障害や、単発的な痙攣をおこしますが、回復して後遺症がないとされています。

重症例は…

  • 重症意識障害(いわゆる、寝たきり)
  • 痙攣発作
  • ショック症状(血圧低下、呼吸困難)
  • 脳神経症状による呼吸抑制

こういった症状によって、寝たきり、人工呼吸器が外れなくなってしまう、痙攣を繰り返して成長してもなお頻繁に入院が必要になる方がいらっしゃいます(私がかかわるのは主にここや、成人でのインフルエンザ脳症です)

今まで元気だった方が、突然「インフルエンザ」という、ありきたりな病気のために命を落としたり、寝たきりを余儀なくされるという事実は、とても苦しいです。

ブログなどでも、闘病されている親子の方々が紹介されています。

つい最近も、ニュースでインフルエンザ脳症で脳死にいたった患者さんの移植の記事がありました。

インフルエンザが急変し救急搬送…脳死判定を受けた5歳・愛娘の臓器提供を決断した家族の願い | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

ちなみに現在、確立された治療法はありません

※IL-6阻害薬という治療法が著効したという報告はあります。

タミフル(オセルタミビル)などが合併症を予防するということは知られています。

そして、最も有効な予防法が、ワクチン接種なのです。

脳神経領域(外科も含めて)では、たびたび「治療法がない疾患」に出会います。医師としてもできることがないというのは非常に苦しいです。
ワクチンがある病気については、リスクを下げる方向で努力するというのが、我が家の考え方です。

引用文献

4.Yang, M., et al. (2024). Characteristics and outcome of influenza-associated encephalopathy/encephalitis among children in China. Clinics, 79. https://doi.org/10.1016/j.clinsp.2024.100475.

インフルエンザについては厚生労働省がとてもわかりやすいQ&Aを作っていますので、そちらもぜひ参考にしてください。インフルエンザQ&A|厚生労働省

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書いた人

小学生と幼稚園生の三人兄弟を育てる夫婦。

パパは現役医師で毎日多忙な日々を送り、
ママは元看護師で今は毎日家事育児に走り回る専業主婦。

子育てを通じて興味を持った絵本を中心に、
主に本の紹介をしていきます。
そのほか、
子育ての話や
本業である医療系の話
趣味の話(映画や読書、植物、動物)
多岐に渡りお話したいと思います。

ご希望の話題ありましたらコメントで教えてください。

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